東京地方裁判所 昭和48年(特わ)254号 判決 1973年6月12日
被告人
本籍
茨城県鹿島郡神栖町大字木崎二一六番地
住居
東京都新宿区西新宿一丁目一九番三号
職業
会社役員
塙啓三郎
大正一五年五月一日生
被告事件
所得税法違反被告事件
出席検察官
河野博
主文
1 被告人を懲役五月および罰金五五〇万円に処する。
2 被告人において右罰金を完納できないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
3 本裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は不動産の売買、仲介等の業務を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、不動産取引による売上の一部を除外する等の方法により所得を秘匿したうえ、
一、別紙第一記載のとおり昭和四四年分の実際課税総所得金額が、一九、二九八、〇〇〇円あったにもかかわらず、昭和四五年三月三日、東京都新宿区北新宿一丁目一九番三号所在の所轄淀橋税務署において、同税務署長に対し、同年分の課税総所得金額が七、九九五、〇〇〇円で、これに対する所得税額が二、六五八、〇〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、同年分の所得税額八、七八九、四〇〇円と右申告税額との差額六、一三一、四〇〇円を法定の納期限までに納付せず、もつて右不正の行為により右差額分の所得税を免れ、
二、別紙第二記載のとおり昭和四五年分の実際課税総所得金額が四三、二五九、〇〇〇円あつたのにかかわらず昭和四六年三月一五日、前記所轄淀橋税務署において、同税務署長に対し、同年分の課税総所得金額が一四、七九八、〇〇〇円で、これに対する所得税額が六、二五八、九〇〇円である旨の虚偽過少の所得税確定申告書を提出し、同年分の正規の所得税額二三、三三八、二〇〇円と右申告税額との差額一七、〇七九、三〇〇円を法定の納期限までに納付せず、もつて右不正の行為により右差額分の所得税を免れ
たもの(右各年分の税額の算定は別紙第三記載のとおり)である。
(証拠の標目)
一、被告人の当公判廷における供述
一、押収してある所得税確定申告書二袋(昭和四八年押第六四八号の六、七)
一、被告人の検察官に対する供述調書三通
一、被告人に対する大蔵事務官の質問てん末書一五通
一、被告人作成の上申書二通(昭和四六年一一月一二日付、同年一二月七日付)
一、次の者に対する大蔵事務官の各質問てん末書
須田治昌、宮沢清司、山本新三郎、大橋三郎、石川芳治、和田与惣治、塙光義
一、田中文司の検察官に対する供述調書
一、次の者の作成名義の各上申書
宮沢清司(二通)、中川英造、高橋康友、成毛華三郎、佐野昌治、和田鉄也、合資会社篠崎商事、鈴木志一(二通)、岡野博、山本新三郎、田向源太郎
一、次の者の作成名義の各回答書
佐藤勇吉、高橋敏郎、根岸伸幸、田谷国平(三通)、中川英造、山本幸二、鈴木一美、本田昌也、岩瀬清、諸明、渡辺健次、奥井桂一郎、石橋清子、海宝博之、木村八重、城之内勇、鈴木光司、山本新三郎、嘉陽信子、大槻弘、人見健次郎、杉田和三郎、椎名正広、青木一郎、和田与惣治、鈴木正、鈴木実、田谷猛男、鈴木志一、高安健治、石津勝男、石川芳治、石橋苫子、川上縁郎、山中清寿、溜川幸一、鍋田なをい、溜川治、長藤稔、中島節郎、沼田達郎、菅佐原正雄、川口実、石川産業(株)、野口弘一、野口芳郎、西野銓平、池田治、物井光慶、新宿税務事務所長(二通)、東京都水道局西部支部、川井雄次郎、岩崎正夫、大屋典昭、花ケ崎有年、飯田徳雄、達田潤也、石橋敬三郎、所斌、迅寛、伯耆彦作、綱川源一、島崎正猪、細田清、小林仁太郎、塙正展、高木秀男、夏目直彦、井上富雄、市原毅、鈴木正治、
一、次の者の作成の各証明書
森田栄樹(三通)、伯耆彦作、
一、次の大蔵事務官作成の各調査書
稲数千秋(二三通)、倉橋豊(四通)、上熊須重雄(八通)
一、押収にかかる次の各証拠物(いずれも前同押号でかつこ内はその符号)
土地売買契約書等四袋(一ないし四)、領収証等一袋(五)
(法令の適用)
一、判示各所為につき 所得税法二三八条(各罪につき懲役刑と罰金刑を併科)
一、併合加重 懲役刑につき刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、罰金刑につき刑法四五条前段、四八条二項
一、換刑処分につき 刑法一八条
一、執行猶予 懲役刑につき刑法二五条
よつて主文のとのり判決する。
(裁判官 池田真一)
別紙第一 修正損益計算書
塙啓三郎
自 昭和44年1月1日
至 昭和44年12月31日
No 1
<省略>
別紙第二 修正損益計算書
塙啓三郎
自 昭和45年1月1日
至 昭和45年12月31日
No 1
<省略>
別紙第三 税額計算書 No.
塙啓三郎
<省略>